日本酒の味わいを大きく左右する要素の一つが「酒米(さかまい)」です。一般的な食用米とは異なり、日本酒造りに特化した品種で、粒が大きく心白(しんぱく)と呼ばれる白く濁った部分があり、これが酒造りに適している理由です。ここでは、日本酒によく使われる代表的な酒米と、それぞれの特徴や味わいの違いについて解説します。
山田錦(やまだにしき)
兵庫県を中心に生産される、日本で最も有名な酒米。大粒で心白が大きく、精米しやすいため大吟醸酒など高級酒に多く使われます。雑味が少なく、バランスの良い味わいを生むため、多くの酒蔵が愛用しています。香りが華やかで、すっきりとした口当たりが特徴です。
五百万石(ごひゃくまんごく)
新潟県を中心に栽培される酒米で、淡麗辛口の日本酒に向いています。心白が小さく溶けにくいため、すっきりとした軽やかな味わいに仕上がるのが特徴。新潟の地酒に多く見られる傾向があります。
美山錦(みやまにしき)
長野県などの寒冷地で多く栽培されている酒米。やや硬めで、雑味が少なく、キレのある味わいの酒に仕上がります。軽やかな飲み口を求める蔵に好まれます。
雄町(おまち)
岡山県産の古い品種で、現存する最古の酒米とも言われます。粒が大きく柔らかいため、麹菌の繁殖がしやすく、濃厚で複雑な味わいを持つ日本酒に仕上がります。しっかりとした旨味を感じたい方におすすめです。
八反錦(はったんにしき)
広島県で多く栽培される酒米。雑味が少なく、さっぱりとした味わいに仕上がるため、香りを活かした吟醸酒に向いています。柔らかく上品な口当たりが楽しめます。
酒米と味わいの関係
酒米は、溶けやすさや心白の大きさ、デンプン質の質によって発酵や味わいに違いをもたらします。たとえば溶けやすい酒米は旨味を引き出しやすく、溶けにくいものはシャープでキレのある酒になります。
まとめ
酒米の違いを知ることで、日本酒の選び方や楽しみ方がさらに広がります。ラベルに記載された酒米の情報から、その酒がどんな味わいかを想像できるようになれば、より一層日本酒の世界が楽しくなるでしょう。